#12-Bunkamura202207 終


開催期間:2022 7/21(木)~7/27(水)
場所:渋谷Bunkamura Box Gallery

2022年夏の渋谷Bunkamura個展が終了しました。
改めてお見せするものではないかもしれないけど、設営前はこんな感じで何もない状態です。

 

 お客様が見やすいように、そして印象に残るように、そんなことを考えながらレイアウトを組むんです。

 今回の個展のテーマは『推進力』。
動植物たちの次世代へ繋ぐ美しい力。どんな時も一歩ずつ前へそんなメッセージ性をガラスの中に表現しました。

 たくさんの方にお褒めいただいた革装丁の本型の額。最初に思いついた時は、古書をくり抜くイメージでした。ですが、その本には執筆者、装丁した人、出版社など、多くの人の手が関わっているわけです。その様な本を傷つけるわけにはいかないので、「だったら自分で本を1から作ろう。」と言う発想に至ったわけです。

 本型の額などを、規則的に壁に配置します。それぞれ大きさが違うので、レイアウトを組むときには5mm単位で細かい配置図を制作します。何をどこに配置して、どう言う順番にするのか。それを考えるだけでも2日以上かかるので、個展前は胃がキリキリする様な不安感と研ぎ澄まされて神経が尖った状態になります。

 床やテーブルに置いている大きく分厚い本にも視線が誘導されます。昨今は電子書籍化も進み、なかなか大きな本に触れる機会も減ってきました。そんな時代だからこそ、と思い数年前に大きな本のディスプレイを始めました。僕の作品は物語性があるので、本との相性はぴったりです。
 作品がとても小さいので、通路や道を歩いている人には視認性がありません。遠くからでも気付いてもらって、近くに来てもらうための装置が必要だったんです。それが大きな本のディスプレイでした。

  今回のメインウィンドウには、複数展示できる見開きの本型の額を設置しました。周りには恐竜の化石を模した牙や角や歯などを不規則に展示し、考古学者/古生物学者の雑多とした机の上をイメージしたディスプレイにしました。

  作品を作るときに使用している電気炉や、ハンドリューターを古い写真風に加工したものでご紹介しました。材料や加工法など、あまり詳しく説明しないのは神秘性を保つためと、模造防止だったりしますが、もはや真似できないと思うので、少しだけ作品作りにまつわるものをお披露目しました。

 今展は会期直前になってからコロナ感染者が増大したこともあって、なかなか難しい期間になってしまいました。依然として猛威をふるう新型コロナウイルス感染症ですが、2年以上経っても対策や行動に明確な基準もなく、各々に委ねられている状態です。そんな中「ぜひ来てください」とは言いにくい状況になってしまいましたが、夏のBunkamura個展としては最後?となってしまう今展を「何としても」と来てくださった方々には、言葉に表せないくらい感謝しております。
 また、本当はどうしても行きたかったけど、こんな状況なので自重した方もいらっしゃると思います。12月2日から8日、渋谷Bunkamura個展をやります。冬には感染症が終息していることを願って・・・その時は是非見にいらしてください。