#8-神戸202109 終


開催期間:2021 9/18(土)~9/23(祝・木)
場所:トアギャラリー 1F

 コロナ禍の緊急事態宣言下における神戸個展、想像していた通り難しい6日間となった。長引く自粛期間は“楽しむこと”の意味を深く問い、それに見合わないもの、もしくは不要不急という曖昧かつ、人それぞれ異なる物差しを、それぞれで判断させることにより、生活必需品とは言えないジャンルのモノコトたちは、肩身の狭い思いを強いられている。
 さて、この様な状況を打開…しのぐ為に必要なことは何かと問われれば、良い意味で“クセ”を強めることだと思っている。誰かが作っている様なものではなく、その人しか作れないモノ。そこでしか体験できないコト。手に持っていたら、部屋に飾っていたら、体験できたら、この毎日をポジティブに生きられる。そんな特性を持ったものが、この状況を乗り越えられると信じている。

 今回の神戸個展はそういう思いも抱えつつの個展となった。作品の完成度はもちろんだが、飾り付けも年々こだわりを強め、作品と同じくらいディスプレイ用品にも時間を割いている。いろんなサイズ/色の本型の額は、ネパールの手漉き紙を使用して、一から本を装丁した後に、表紙からくり抜き、焦がすなどの加工をしている。
 照明にもこだわりがある。暖かみのある色合いと、穏やかな光量で作品を演出している。

 何故そこまで力を込めた個展をするのか?それは“こだわった展示をするアーティスト”でいたい、それに尽きる。オンラインストアで作品を購入してくださる方がいる。接客が出来なくとも、『どういうこだわりがあって、どの位の空間を、どういう風に演出する人なのか?』ーそれが分かった上で、作品を購入/着用/飾るのは、喜びが増すと考えている。ただのアクセサリーではなく、ただのアートでもなく、お守りの様な、その人にとって『無くてはならないもの』にならなければ、これから訪れるであろう大量生産・大量消費からの反動=唯一無二の時代を、自分らしく強く生きていく事は出来ないと考える神戸個展後の感想でした。