#20-2023 総括


2023年総括

今年最初の個展は3/22~3/27の京都。

コロナから立ち直りつつあった3月の京都。外国人観光客で溢れかえり、コロナ前のような賑わいを取り戻していた。個展へも多くの外国人観光客が入ってきてくれた。私はほとんど英語が使えないわけだが、海外のお客さんの反応はとてもわかりやすい。「自分に必要なら買うし、必要なければ買わない。」だから接客もしやすい。アートは難しいものではないし、楽しいものであって欲しい。そして肯定も否定も要らないと思っている。「必要な人に届いて欲しい。」ただその一心で活動している意義が、海外の方の反応を通してより明確になった気がした。

 

6/13~6/18は外苑前での個展。

15年以上続いた渋谷Bunkamuraから場所を替えて初めての個展。「場所が変わったら、今までのお客様は来てくれないんじゃないか?」そんな不安で押しつぶされそうだった。始まってみれば、そんな不安をかき消してくれるほどの盛況で、改めてお客様の行動力に、ただただ感謝だった。『自分に置き換えたらどうだろうか?』これはいつも考えること。場所が変わったのを機に行くのをやめたりしないだろうか?良い機会だからもう行くのをやめよう。そんな風に思われないように、無い知恵を絞る。だけど、より良い作品を作る事しかできないわけで、いつもそんな答えの出ようのない自問自答を繰り返している。

 

9/6~9/11は京都個展。

年に2回、京都で個展をやらせていただくことにした。3月は海外のお客様が多かったのに、9月のこの期間はなぜか少なかった。そして暑かった。夏のさいたまの暑さに慣れている私だが、京都の暑さはまた性質が違って、それはそれでなるほど暑い。コロナ終息の気配もあって、マスクをしている人はごく稀で、ようやく以前の京都が帰ってきた感じがした。反省としては個展会場に入ってきてもらうための工夫が足りなかった。作品が小さい私の場合、道すがらのお客様に興味を持ってもらって、会場に入ってきてもらうのは至難の業。だけど、個展を開催する以上、その命題からは避けられない。来春の京都個展までには強力なアイキャッチャーを用意しなければ。

 

11/7~11/12は外苑前個展。

6月の個展では多くのお客様に恵まれた訳だが、いつもいつもそういう状況になるわけではない。天候や情勢に大いに左右されるのが、この仕事の常だ。だから毎回いろんなことを試している。どんな状況でも来てくれるお客様、そしてたまたまSNSで私のことを知り、来てくださる方、ずっと気になっていたけど、ようやくタイミングが合って、念願叶った方。いろんなお客様がいる。皆さんの満足度を100%には出来ないかもしれないけど、常に心がけているのは、私自身の満足度を100%にすること。それは簡単なようで結構難しい。あぁすれば良かったとか、こうすれば良かったとか、そういうのがその時点であってはいけないと思っている。そして決して無理はしない。仕事をする時間は決めている。いくらでも仕事をして良いのなら、その分確かに仕事量は増える。だけど、それは自分の実力なのだろうか?私の場合は、限られた(決めた)時間の中で、結果を出してこそ『仕事』だと思っている。

 

12/9~12/14は神戸個展。

かれこれ13年前、関西での初個展が神戸元町で、当時は年に2回やらせてもらったりしながら、今回がトータルで20回目の個展だった。13年前はとても賑やかな街で、それでいて洗練されていて煩くない。新しいものに寛容で、かといって古いものも美しく混在している。そんな和洋折衷/レトロフューチャーな魅力あふれる街だった。今がそうじゃなくなったというわけではない。今は今で素敵な街だけど、生まれ変わろうとしている最中なのだろうか?昔のようなレトロ美な印象は薄くなりつつある。これは日本全国的な問題なのだろうけど、大都市に商業施設は集中し、SNSなどで集客できるお店は場所を選ばない。目的なく、ただ街をぶらぶらするような人がどんどん減っている。『偶然の出会い』『たまたま入ったお店で素敵なものと出会う』『いつもは通らない道を歩いていたら、自分好みの店を見つけた』そんな探検みたいな日常ではなく、携帯やPCをみて、誰かが良いといっているものを追いかける、直接お店に行く。そんな世の中になりつつある。私はそれを否定しているわけではないし、もちろんその波に乗らなければとも思っている。ただ、あの探検が楽しいんだよなぁと思い耽ることが増えてきた。話はそれたが、神戸の個展は来年はお休みしようと思う。自分自身の実力不足もあるが、ちょっと考える時間が欲しかった。その代わりと言ってはなんだけど、来冬は念願の博多での初個展を企画している。いろいろと準備しなくてはいけないことがたくさん。私自身も楽しみだし、皆さんも楽しみにしてくれたらと思う。

今年も一年、本当にありがとうございました。相変わらずな私ですが、自分なりのペースで一歩進んだり、何歩か戻ったりしています。どうか来年もお付き合いくだされば幸いです。それではまたすぐにお会いしましょう。